そして優しい嘘を言葉に
ピンポーン ピンポーン

私が呼び鈴を押すと、すぐに玄関のドアが開いた。



「いらっしゃい」

おばさんがそう言った後、私の回りをキョロキョロと見た。



「『仕事が長引いて少し遅れる』って連絡が来たから、私1人だけなんだけど……先に入ってていいかなぁ?」

私がそう言うと、おばさんはちょっと驚いた顔をした。



「仕事? 社会人なんだ、紹介したい人って」



あっ!

そうだ、何も教えていないから、もしかしたら同級生とか学校の先輩とか思っていたのかも?



「うん……あの、詳しくは彼が来てから話すから……」

私がそう答えると、おばさんはハッとした。



「そうね。美雪ちゃん、中へどうぞ」



おばさんに促されて中へ入ると、リビングのソファーにおじさんが座っていた。


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