そして優しい嘘を言葉に
「それにしても、美雪ちゃんが彼氏を紹介してくれる日が来るとは……夢のようだよ」

おじさんは嬉しそうに笑って言った。



「気持ち的には『俺の娘は嫁にやらん』って感じなんじゃないの?」

おばさんがクスクス笑いながら、おじさんに言った。



「まぁ、否定はしないけど……こうやって俺達にも紹介してくれるんだから、嬉しいよな、やっぱり」

おじさんは苦笑いをして、私を見ながらそう言った。



それからコーヒーを2口飲んで、おじさんはそのカップをテーブルに置くと、自分の頭をポリポリと掻いた。



「んー、やっぱり落ち着かない! なぁ、美雪ちゃん? 彼ってどんな人? 仕事って何してるんだ? 何処で知り合って……」

「ちょっと! 慌てなくても、彼が来たら話してくれるでしょう? 少し落ち着いてよ」



おじさんがそわそわして質問を始めたら、おばさんがおじさんの肩を軽く叩いて注意した。



その光景を見て、ちょっと、心が温かくなる。


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