そして優しい嘘を言葉に
「おじさん、あのね」

私が涼との出会いを話そうとしたら、涼が私の前にスッと手を出し、制止した。



「確かに夏から産休代理で働いていて、4月からも改めて正式に採用されたから、同じ学校だよ」

涼もおじさんをジーっと見たまま、そう言った。



おじさんの眉間にシワが寄る。



どうしよう……。

おじさんとおばさんには、分かってもらいたい。



私、涼と出会ってなかったら、きっと今でも自分の事を責めて、罪悪感からここにも顔を見せられなかった。



涼と出会って、止まっていた私の時間が動き出したの。

同じ学校の先生と生徒になってしまっても……私の中で1度動き出した時計の針は、止められなかったんだよ。


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