そして優しい嘘を言葉に
自分が祥くんの事故で急に帰らなくてはいけなくなって、私に連絡先も教え忘れて慌てて帰ってしまった事。


そのせいで、自分の気持ちをやっと自覚した私だけど、もう涼とは会えないと思っていた事。


でも、夏休みが明けて……学校で再会してしまった事。


そして。


その日の帰り、僚二が居なくなった海で……私達が出会った海で、秘密の関係になってしまうけど、付き合う覚悟を決めた事。


2人で僚二の思い出を胸にしまって、共に未来へ進む約束をした事。





「そして、現在に至る……と言う感じです」

涼はそう話をまとめると、『ふぅ』と1つ息を吐いて、冷めたコーヒーを飲み干した。



おじさんもおばさんも、しばらく無言でじっとしていたけど、おばさんがハッとして席を立ちキッチンへ姿を消した。

おじさんは、何かを考えているような感じがした。


< 378 / 430 >

この作品をシェア

pagetop