そして優しい嘘を言葉に
おばさんがみんなの分のお茶を持って来て、黙ってそれぞれの前に静かに置いた。

そして、おばさんが再び座ったのを見計らったかのようなタイミングで、おじさんは私を見た。



「美雪ちゃん」

「はい?」

「美雪ちゃんはずっと……『僚二が海で行方不明になってしまったのは自分のせいだ』……そう思って自分を責めていたんだろ? だから、俺達に会いに来れなかったんだろ?」



おじさんは真面目な顔でそう訊いた。



「……はい……」



そう。

ずっと思っていた……僚二を奪ってしまった私が、僚二の両親である三田のおじさんとおばさんに、どんな顔をして会えばいいんだ……って。


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