そして優しい嘘を言葉に
「涼……おまえ、そんなんで大丈夫なのか?」

おじさんが呆れたような口調でそう言った。



「そんなんで、ってどう言う意味?」

相変わらず、私を隠すように抱き抱えたまま、涼が訊き返した。



んー、もう放して欲しいよ。



「学校で、きちんと公私の区別はつけて行動しているんだろうな?」

おじさん、ちょっとだけ低い声で、確認するように言った。



「……はい」

ちょっと間があってから、涼はボソッと返事をした。



すると。



「怪しい……絶対、怪しい!

 今の間はなんだ?

 それにおまえが『はい』だなんて素直に返事するなんて、怪しい以外の何物でもないぞ!

 おまえがどうなろうと、それは自己責任だからいいが……万が一、美雪ちゃんが傷付くような事になったら、どうするつもりだ?」



おじさんが怒りながらそう言った。


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