そして優しい嘘を言葉に
恐る恐るおじさんの顔を見ると……おじさんは口をパクパクと動かしていた。



えっ、おじさん、何が言いたいの?



『ふっ』と涼が笑った気配がして、涼に視線を変えると、涼はクスクス笑って私を見ていた。

それからおじさんを見ると、涼は言った。



「そうそう、俺達、今は『まだ』キスだけだから、安心して」



ピクッ

涼の言葉に、私の体が固まる。



あっ、あっ、私……さっき、自分で『まだキスしかした事ない』……なんて、言っちゃったんだ!



ヤダぁ、恥ずかしいよぉぉぉ。



しかも、涼、『まだ』って強調して繰り返したよね?

なんでこんな話をしなくちゃいけないのっ。


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