そして優しい嘘を言葉に
「美雪ちゃん」

「はい?」



呼ばれておばさんを見ると、優しく微笑んでいた。



「何か涼と、将来の話をしているの?」



……えっ?

思わず、今日お守り代わりに身に付けてきた、涼が誕生日にくれたベビーリングのネックレスを服の上から触った。



「さっき、涼が『ただの恋人同士じゃない』って言ったでしょ? うちの人は違う意味に解釈しちゃったけど、私はもしかしたら、将来の約束を何かしているのかしら……そう思ったの」



おばさん、鋭いなぁ。

私は服の下に隠していたベビーリングを取り出した。



「16才の私の誕生日に、これを渡してくれて……プロポーズされた。私が高校を卒業したら結婚しよう、って……私達、そう思っているの」

「やっぱり、そうだったのね」



おばさんはそう言うと、少しベビーリングをジーっと見ていたけど、しばらくして静かに私の目を見て言った。



「美雪ちゃんの相手が、涼で良かったわ」

「えっ?」


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