そして優しい嘘を言葉に
「おまえら、俺が振ったり振られたりするように、見えるのか?」

「えー? だって、別れたんだったら、どっちかじゃないんですか?」

「別れた事を前提に、話を進めるなよ」



涼は質問した生徒にそう答えてから、一瞬、フッと笑って軽く俯いたけど……すぐに顔を上げて、みんなの顔を見回しながら言った。



「『彼女は居ません』って、ちょっとニュアンスが違った……『ただの彼女』と言う意味では居ないけど、もっと大切な『婚約者』なら居たりして」



ドクン!

本気で、心臓が止まるかと思った。

なっ、何? どうしたの、急に真逆な事を……。



クラス中が、どよめいた。

中には『ヒューヒュー』と歓喜の口笛まで……。


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