そして優しい嘘を言葉に
「それに俺、同じ学年に好きな子、居るから」



えっ?

急に、川井くんが真面目な口調で言ったので、ちょっと驚いた。



そうだったんだ……私の知っている子かなぁ?

私がそう思って首を傾げると。



「俺が好きなのは……」

「東野!」



ん?

川井くんが話している言葉に被るように呼ばれて、声のした方を見ると沖野先生だった。



「東野、ちょっと」



手招きしている。

あっ、でも。



「まっ、いいや。ちょっと気になっただけだから……じゃぁ、お疲れ~」

川井くんがそう言って、手をヒラヒラ振って、帰って行った。


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