そして優しい嘘を言葉に
「おまえなぁ、暗い部屋で考え事してると、暗い発想しか出来ねぇーぞ」



振り向けなかった私の後ろの方から、そんな言葉が聞こえた。



ねぇ、なんで?

いつもそう。

私の心が出口の見えない真っ暗な迷路をさまよっていると、出口の扉を開けて明るい光で導いてくれるの。



私は振り返った。

そこには、ちょっと心配そうに苦笑いをした愛しい人。



「……涼……」



涼は無言で私に近付き、ポンポンと優しく頭を撫でてくれた。

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