そして優しい嘘を言葉に
持ってた荷物を部屋に置くと台所に行き、涼はコーヒーカップを2つ取り出して何か飲み物を準備してくれてから、テーブルをトントンと指で叩き、『こっちにおいで』と促した。



私は素直に立ち上がって、促されたようにイスに座った。

目の前のコーヒーカップからは、甘い香り。

ココアだ。

1口飲み込むと、体中に甘さと温かさが広がったような気がした。



「で?」



えっ?

私が顔を上げて涼の方を見ようとしたら、涼の右手が伸びてきて、私の頬を指で撫でた。



あっ、涙……。

涙を拭ってくれたんだ。

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