そして優しい嘘を言葉に
訊いてみようか……そう思った時、今日おばさんが私に言ってくれた言葉を思い出した。



『私が先に声を掛けたら、話すのを止めて帰っちゃうんじゃないかと思って、待ってたの』



おばさんは、私が自分から話をするのを待っていてくれた。

私も待とう……涼はいつかきっと、ちゃんと話してくれる。



「分かった。ありがとう、涼」

私の返事を聞いて、涼はちょっと何か言いたそうな顔で微笑んだ。



涼が何か言うのを迷う時って、私の気持ちを考えてくれている事がほとんど。

普段は茶化したり意地悪したりするくせに、時々、まるで壊れ物を扱うように私の事を大切にするよね。

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