そして優しい嘘を言葉に
ガラッ

その時、教室のドアが開いた。



「沖野先生。まだチャイム鳴ってないんだけど?」

「フライングし過ぎじゃん」

前の席の人達が、ドアを開けた人物に言った。



「いいだろう? たまには俺も、おまえ達の会話に交ぜろよ〜」

そう言いながら一度教壇へ行き、持って来た教科書等を一式机の上に置いてから、男子生徒達にちょっかいを出し始まったのは、5時間目の英語を担当する沖野先生。



「『たまには』って、沖野先生、いつも生徒達の会話に交じってるよね」

希未がクスクス笑いながら言った。



「そうだね」

私も苦笑いで、相槌を打った。

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