そして優しい嘘を言葉に
そう言えば、涼にまだチョコ渡してなかった。



私は冷めたココアを飲み干してから、席を立って自分のバッグからラッピングしたチョコを取り出した。

そして、イスに座ったままの涼に、それを差し出した。



「涼。バレンタインのチョコ、食べてね?」



涼は好き嫌いも無いし、甘い物も大丈夫だから、今回は生チョコにしてみた。

それを見ると、涼はクスッと笑った。



「今日の部活の時にみんなに渡したのと、違うな」

「だって、あれはお礼のチョコクッキーだもん。これは……」



そこまで言って、急に恥ずかしくなった。

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