そして優しい嘘を言葉に
「おまえは、気遣いし過ぎ」

「えっ?」

「我慢出来なくて泣く位しんどい時まで、回りの事、気にすんなよ」



涼はさっきと違って、私の全てを包み込むような優しい笑顔をしていた。



「おばさんに会えて、よかったな?」

「涼」



涼の言葉が嬉しくて、ジワッと瞳が潤んできたのが分かった。



「おーい! 今日は本当は、恋人同士が甘く愛を語らう日なんじゃねーのかぁ?」



涼がそう言って、泣き掛けていた私の頬を、空いていた右手で軽く摘んで引っ張った。

おかげで、出かかった涙が止まった。

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