そして優しい嘘を言葉に
「もうっ、そんな事言ってる涼が、一番そんな感じじゃないでしょ?」

私は摘ままれている涼の右手を指差した。



「そんな事はねーよ」

そう言って、涼は私の頬から手を放すと、私が渡したチョコを手に取った。



「ありがとうな。開けていい?」

「あっ、うん」



私はいいかげん邪魔だと思い、再度立ち上がろうとしたけど、再びギュッと片手で抱き締められた。



「そのまま」

「あの、涼? 邪魔でしょ?」

「なんで? おまえが邪魔な訳ねーだろ?」



涼はそう言うと、器用に右手だけでラッピングを開けて、箱のフタを取った。

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