そして優しい嘘を言葉に
すると。



「『美雪の辛い思い出を、俺が楽しい思い出で塗り替えていってやる』って」



涼のその言葉に、ハッとした。

涼……もしかして……。



「来年のバレンタインからは、今のキスを思い出せよ?」



ああ、やっぱり……。



僚二からのバレンタインの告白が辛い思い出では無いけど……その後、毎年、僚二が居ないバレンタインが辛かった。

涼はそれに気が付いてくれたんだね?

だから、約束通り、私に新しい思い出をくれたんだ。



そう思ったら、さっきまでの恥ずかしさが薄れていった。

< 71 / 430 >

この作品をシェア

pagetop