そして優しい嘘を言葉に
そうだ……この高校の男子バスケ部で、お兄ちゃんの他に僚二を知っているのは、章弘先輩だけだ。

しかも、中学の時、僚二と同じバスケ部だったんだから……。



「中学の時にさ、部活の帰りなんか、真佐志と僚二と3人でつるんで帰ったりしてて……時々、僚二が美雪の事を話してた」



章弘先輩は、少し遠くを見るような眼をしていた。



そうなんだ……僚二は私の事、どんなふうに話してたんだろう……。

そう思うと、ちょっとだけ切なくなった。



章弘先輩は、フッと我に返ったように、再び私を真っ直ぐに見た。

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