そして優しい嘘を言葉に
「美雪が、ずっとこのまま僚二の事を引きずって、淋しい笑顔で生きて行くのかと思うと……ここを離れるのに、それだけが心残りだった」

「……章弘先輩……」



先輩はニコッと笑った。

「おまえ、最近、いい笑顔してるよ……特に、あの人と一緒に居る時は」



自分では分からない、小さな変化。

それは無意識だから、周りの人に言われないと、本人は気が付かない。



……もしかしたら、私と涼の事……他にも気が付いてる人が、居るの?

私は先輩の言葉を聞いて、そんな不安で胸が締めつけられた。



「あまり気にするなよ?」

「えっ?」

章弘先輩の言葉の意味が分からなくて、思わず首を傾げた。

< 95 / 430 >

この作品をシェア

pagetop