立花香織の友と家族

昔、お母様に聞いたことがある。
狼人間はヴァンパイアの匂いが嫌いだと。
もちろん、例外もいるが、ほとんどがそうらしい。
だから、マリアちゃんは私に消えて欲しいのかな？
でも、そんなこと言ったら、大輝はどうなの？
大輝だって、ヴァンパイアだ。
「ねぇ？ なに、だまってるの？」
マリアちゃんが聞いてくる。
「別に、なんでもないよ。ただ、大輝はどうなるのかな？って、思ってたの」
「大輝君は別よ！ あんたの匂いが嫌なの！！」
叫ばれた。
そんなに、私の事が嫌なら、私に近づかなければいいのに……。
自分勝手な人……。
「意味不明だよ、貴方が言ってる事は。どうかしてる！」
「私のどこが、意味不明なのよ！！」
「ヴァンパイアの匂いが嫌なんでしょ？ じゃあ、なんで、大輝はいいのよ？」
そんなとき、「どうしたんだ？」と、きかれた。
大輝！
「ねぇ、聞いてよ大輝！ あの子が私の事を嫌いっていうの！」
「そんな事、言ってない！」と、マリアちゃんが叫んだ。

ガラガラガラー。

教室の扉から先生が入ってきた。
「マリア、香織。どうしたんだ？ 喧嘩か？」
先生が私達に聞く。
すると、マリアちゃんが泣きながら、大きな声で行った。
「香織ちゃんに、襲われたの！！」
「それは、本当なのか？ 香織？」
先生が真剣な顔で聞いてくる。
「そんなの嘘よ！」
「嘘じゃない！ 本当よ先生！ 香織ちゃんは、本当はヴァンパイアだったのよ！ それで、私の血を吸おうとしたの！！」
マリアちゃんが叫び散らす。
「えっ！？」、「恐いね！」、「近づかないとこ」とか、クラスからそんな声が上がっている。
「ヴァンパイアだって！？ そうなのか？ 香織。本当に血を吸おうとしたのか？」


「してない！ それに、ヴァンパイアじゃない！ 私は、血を吸った事なんてない。だから、わたしはヴァンパイアじゃないわ！！！」