白虎連合Ⅲ






「龍ー、ほらもっと進んでっ」


「まだ行くんすかっ?」


「もっと深いとこ行きたいねんて」


「もう充分足着かないでしょーが」






浮き輪の中に入り、龍に引っ張って貰う。



どんどん奥に進むと泳ぐ人は少なくなってきて。

余り遠くに行くな、と寿に言われたからこの辺で止めておいた。






「なぁなぁ、足の下で魚とか泳いでんのかな?」


「鮫が泳いでるかもしれないっすよー?」


「龍なんて食われてしまえ」


「いや、すんません」







プカプカと波に合わせて体が揺れる。

龍も外側から浮き輪に捕まり、楽しそうに笑顔を向けてきて。






「なんかゆいさん、確かに変わりましたねっ」


「ん?」


「偽物事件から表情が柔らかくなりましたし」


「……………」


「きっとそういうゆいさんが、俺達の知らない昔の姿なんすかね」






過去と決別した私。

あの頃に縛られる事も、もうない。





やっぱり、うちは変われたんやね。






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