「あなたのライバル派遣します!」
それからというもの、竜馬と健は自然といつも一緒にいるようになった。

竜馬にしてみれば、こんなに馬が合う友人を持つということは生まれて初めての経験だった。

 不思議なことに、竜馬と健はあらゆる面において同じような能力値を持っていた。

竜馬の成績は、一学期の中間テストの結果を見れば、学年の中で296人中125位と中の上程度。

運動に関しては、特別運動神経が良いわけでも悪いわけでもなし。ようは、すべてにおいて平均値の能力といえるだろう。

そして、健に関しても竜馬より少し良いといった感じで、言い方は悪いかもしれないがいいとこ勝負だった。

ただ、健に関してはその外見のせいかもっと色々と出来ると思われていた節があったので、クラスメイトたちの小さな期待は裏切られる形になっていた。

 しかし、そんなことは二人には関係なかった。ただ、竜馬にしてみれば健という友人を得たことで、彼に追いつきたい追い越したいという気持ちが芽生えだした。


 そして、それはすぐに花開いた。学期末のテストの結果、健は296人中86位。そして、竜馬はその上の85位に入った。

クラスの中では健が11位で竜馬が10位だ。小中学生時代も、クラスの上位十位になど入ったことのなかった竜馬は出てきた結果に一番驚いていた。

しかし、その結果を自分のことのように喜んでくれたのが健だった。

「すごいじゃないか、竜馬! 俺も負けてらんないな」

 そういう健の眩しいまでの笑顔に目を細めながら、竜馬はさらに上を目指すことを決めた。
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