「あなたのライバル派遣します！」

　しっかりと絡み合った瞳は動くことがなく、観覧車だけがゆっくりゆっくり回り続ける。

ふいに二人のすぐ頭上でバサバサという音が鳴り響き、呪縛が解けたかのように二人いっせいに上を向いていた。

　もちろん、観覧車の天井は特にスケルトン仕様になっているわけではないのでその正体を認めることはできなかったが、すぐにその謎は解けた。

きっと、ずっとそこにいたのであろう一羽のカラスが二人の乗る観覧車のすぐ横を滑るように飛んでいった。

「びっくりしたね」

「うん」

　二人が、再び瞳をあわせて微笑み合ったところでちょうどスタート地点へと戻ってきていた。

先に下りていた二人が竜馬と朱莉を迎える。四人は合流すると、帰るために出口へと向かった。

　遊園地入り口に設置されている常夜灯の上で、一羽のカラスがまるでそれを見送るように首をかしげながら四人の背中を見つめていた。