「あなたのライバル派遣します！」
　今、轟の目の前に一人の若い男が座っていた。

その男が、手にした報告書から顔を上げると満面の笑みを湛えて話し出した。

「いやー、本当に驚きました。昨日、依頼したばかりなのに、今朝起きたらやたらと頭が冴えてるんですから。まるで、昨日までの自分とはまったく別の人間になったような気分です」

「そうですか、それは良かったです」

「本当にあなたたちに頼んで良かったです。ありがとうございました」

「いえいえ、こちらこそお役に立てて幸いです」

「では、私はこれから仕事がありますので失礼させていただきますね」

　男は、やおら立ち上がるとそれと同時に立ち上がった轟に右手を差し出して握手を求めた。轟もその手を取ると軽く握り返す。

「わざわざ足をお運びいただきありがとうございました」

　男は満足そうに、もう一度微笑むと出口へと向かい出て行った。

その様子を、部屋の隅で見ていた冠と英が轟の元へとやってきた。
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表紙・目次

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