「あなたのライバル派遣します!」


その夜、竜馬の寝ている部屋にベッドの上で寝ている竜馬とは別の人影が一つあった。

背が高いうえにほっそりとしているため余計に大きく見えるその人物は、竜馬の口元に重態に陥っている入院患者がする酸素マスクのようなものをあて、しばらく様子を窺っていた。

 眉間に皺を寄せていた竜馬の顔が、穏やかになったのを認めるとすぐに次の工程へと移行する。

 足元に置いていた、小型のボストンバッグからなにやらコードがたくさんついている器具を取り出して、それを竜馬の頭に装着した。

竜馬はまるで、脳波でも測るような、いやまさにそのものでもあるような状態にさせられている。

「轟(とどろき)さん、準備完了しました」

 耳に装着された小型のマイクに向けてそう発した男は、ボストンバッグから取り出した小型のノートパソコンを開きながら竜馬の横に膝を着いて座った。
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