「あなたのライバル派遣します!」
一方その頃、例の機械がたくさん並べられている狭い密閉空間では、七三の男が大型モニターを見て頷いた。

「よし、じゃあ始めるぞ。英(はなぶさ)、スイッチを切り替えてくれ」

 七三男は、横にいた英と呼ばれる小男に指示を出した。英は、目の前に置かれている機械のボタンを嬉々としてものすごい速さでタイピングしはじめた。

 後方に置かれていたカプセルに付属されている機械の小型モニターに、意味不明の数字の羅列が途切れることなく映し出されている。

ところどころで、赤く点滅して一度止ったかと思うと、すぐにまたものすごいスピードで数字を映し出す。

 それがしばらく続いたかと思うと、急にパタリとその動きは止まり、ある一文を映し出したまま静止した。


『YT‐55264型に一致』


「轟さん。どうやら結果が出たようですよ」

 小男が、七三男に話しかけながらどこに隠していたのか、満足そうな顔をしながらチョコレートバーを貪り食っている。

「そうか。冠(かんむり)、首尾は上々だ。そっちは撤収していいぞ」

『了解っす』

 部屋全体に反響するように、声が響き渡る。轟は、かけていたメガネを外すと眉間の間を指で摘んで体を後ろにそらした。

 それほど時間を置かずして、どこから現れたのか細身の男がひょっこりと現れて部屋の中にいた二人に特に何も声をかけることなく、大型カプセルの横まで移動した。
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