「あなたのライバル派遣します!」
第二章
その日の竜馬の目覚めは最悪だった。
「っつー。何でこんなに頭が痛いんだ?」
ガンガンする頭を振りながら、それでも元来の生真面目さからいつもと同じ時間に起きて、いつもと同じように朝食を食べ、いつもと同じように家を出た。
学校の中は、朝の挨拶で溢れているが、竜馬に声をかけてくるものはまずいなかった。
それは、別に竜馬がいじめられているとかそういうわけではない。単に、あまりにも影が薄いため誰にも気づかれないだけのことだ。
それを特に気にした風でもなく、いつもの光景と軽く流しながら、竜馬は教室の自分の席に着いた。
程なくして、始業のチャイムが鳴り担任の教師が入ってきたが、今日はそれがいつもと違うざわめきをもって迎えられた。
四十代後半の頭に白髪が混じり始めた担任の橘(たちばな)の後ろから、見慣れない男子生徒が一緒に入ってくる。
女子生徒からは黄色い歓声があがり、男子生徒からは戸惑いのどよめきが溢れる。竜馬も、このときばかりはクラスメイトたちと一種の一体感を感じていた。
「今日から、このクラスの一員になった倭(やまと)健(たける)だ。みんな仲良くしてやってくれ。じゃあ、倭、お前からも一言挨拶しろ」
そう紹介された転校生――倭健は、バスケットボール選手なみの背の高い頂上に小さくて整った顔を乗せていた。
その形の良い口が微笑を湛えたまま開かれた。
「倭健です。よろしく」
「っつー。何でこんなに頭が痛いんだ?」
ガンガンする頭を振りながら、それでも元来の生真面目さからいつもと同じ時間に起きて、いつもと同じように朝食を食べ、いつもと同じように家を出た。
学校の中は、朝の挨拶で溢れているが、竜馬に声をかけてくるものはまずいなかった。
それは、別に竜馬がいじめられているとかそういうわけではない。単に、あまりにも影が薄いため誰にも気づかれないだけのことだ。
それを特に気にした風でもなく、いつもの光景と軽く流しながら、竜馬は教室の自分の席に着いた。
程なくして、始業のチャイムが鳴り担任の教師が入ってきたが、今日はそれがいつもと違うざわめきをもって迎えられた。
四十代後半の頭に白髪が混じり始めた担任の橘(たちばな)の後ろから、見慣れない男子生徒が一緒に入ってくる。
女子生徒からは黄色い歓声があがり、男子生徒からは戸惑いのどよめきが溢れる。竜馬も、このときばかりはクラスメイトたちと一種の一体感を感じていた。
「今日から、このクラスの一員になった倭(やまと)健(たける)だ。みんな仲良くしてやってくれ。じゃあ、倭、お前からも一言挨拶しろ」
そう紹介された転校生――倭健は、バスケットボール選手なみの背の高い頂上に小さくて整った顔を乗せていた。
その形の良い口が微笑を湛えたまま開かれた。
「倭健です。よろしく」