年下の幼なじみ【完】
「葵ちゃんも、補習なんだ。オレもだよ」
そう言って、あたしに近付いてきた。
なんで、補習なんか……
「オレ、今回初めて赤点とっちゃったよ」
そう言う彼。
みんなが簡単と言っていたテストなのに、彼が難しいなんて、そんなのおかしい。
「あ、あたし、用事あるから帰る……」
逃れる方法は、これくらいしか思い出せなくて。
「ふーん、分かった。
じゃあ、また明日ね。楽しみにしてるから」
彼が背中に向けて、話しているのを、聞こえながら、走った。
足が震えながらも、暑いなかを走った。
はやく、翔の元へと。
安心出来る翔の声が聞きたかった。