年下の幼なじみ【完】
「……ごめんなさい」
下を向いて小さな声で、謝った美里ちゃんの声は、
あたしにも届いた。
「うん」
あたしは、美里ちゃんに返事をした。
「美里……」
長島くんは、美里ちゃんを見つめながら呟いた。
「お兄ちゃん…、もういいの。もう、翔くんのことは諦めるから」
「……」
長島くんは、美里ちゃんから翔に目を移した。
「オレ、おまえのことが嫌いだった」
長島くんは、そのあとも言葉を続けた。
「中学のとき、オレの彼女がいて、急に別れようって言い出した。
それで、理由を聞いたら水野翔が好きになったって言うんだ。
それで、おまえに彼女が出来たって聞いて、オレと同じ気持ちを味わさせてやるって思った」