哀・らぶ・優
『武田クン…。なんかごめん。』
真っ赤に泣き腫らした目で恥ずかしそうに微笑む君はとても綺麗だった。
「いや…別に…」
思わず緊張してしまった僕は、気の利いた言葉も言えずに立ち尽くしたままだ。
「武田クン、何で教室に?」
『あぁ…忘れ物取り来た。』
そんな目的は、すっかり忘れていた。
今はただこの子のそばにいたいとそう思った。
『宮沢は?』
「うん…失恋。かな。」
苦笑する君の顔はまた泣き出してしまいそうだった。
『あのさ、俺でよければ。話…聞くよ?』
かなり大胆な申し出だった。君は突然過ぎるその申し出に驚いていた。
『いや…ほら…あんまり話さない相手だからこそ…言いやすいときもあるじゃん?』
慌ててそれらしいことを言い足した。
君は下を向いてしまった。
失敗だった、あまりにもいきなりだっただろうか。面白半分だと思われたかもしれない。
そう思い、机から忘れたノートを取り出した瞬間、君は顔をあげた。
『私ね、小林先生が好きなの。』