哀・らぶ・優
待ち合わせの喫茶店に、ちょうど買ったばかりのシャツを着て向かうと、君はもう座っていた。

隣には僕の知らない男…。
『結婚するの。武田クンに1番に話したくて。』

一通り挨拶を終えると君は幸せそうにそう告げた。

「いつも亜由美から武田サンの話聞いてました。」
早川サン、と紹介された君の婚約者は綺麗な白い歯で笑った。
小林先生に似てるな、ふとそう思った。

3人で色々な話をして、―いや、2人が幸せそうに話すのに相槌を打ち、1時間ほど過ごし喫茶店を出た。
2人と別れて空を見ると、あの日のような夕焼けが見えた。

君を一番近くで見守っていた。
例え報われなくても。

だけど本当は望んでいた。
君が僕を愛してくれることを。
一番近くにいたらいつかそうなるだろうと。
なんて傲慢なんだろう。

これからは幸せになってほしいと思う。
だけど、もし早川サンとうまくいかないことがあったら真っ先に連絡しておいで。
いつだって飛んでって、あの日のように頭を撫でながら話を聞くよ。

僕の初恋は、長い長い片思いは、まだ終わりが見えそうにない。






   #3 end.
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