哀・らぶ・優



独り相撲、だったのだ。


あいつの望む女になったつもりでいた。だけどそれは嘘で、もしかしたらこうなる事を予測していたのかもしれない。
浮気現場を目撃されて、…あるいは自分が浮気相手だと知って、
言いよらないで身を引くほど楽な女はいない。
うまく利用された。

だけど“そんなひどい男じゃない”そう思ってしまう自分もいる。
それは自分自身を保つためとは少し違って、あいつを庇ってしまっているのに近い。
そしてあれから2週間たった今でも、ディスプレイにあいつの名前が表示されるのを待ってしまい携帯を片時も手放せずにいる。
これのどこがクールよ。
思わず苦笑してしまう。

少し落ち着こう、とあれから格段と減るスピードの速くなった煙草に火をつけた。

たまらず目をつぶる。




…煙が、目に染みたのだ。
ただ、それだけの理由――



   #4 end.
   
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