哀・らぶ・優

全部分かっている。
君がそうして僕に嘘をつき続けてきたことも、
君が本当は誰を好きなのかも。
全部分かった上で、こうして君の隣にいる。

僕は君を他の誰にも譲りたくなかった。
例え嘘だとしても、他の誰かに君の「好き」という言葉を譲りたくなかった。
もっと言ってしまえば、君に騙される役を他の誰に譲る気もなかった。

君の嘘に僕は進んで騙された。


君は嘘をつくけれど、心はとても綺麗な人だ。
嘘をつきながらも、心は痛んでいたと思う。
僕は知っていながら、君に嘘をつかせ続けた。
僕が騙されてさえいれば、君は僕のそばから離れない。 僕はとても狡賢かった。
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