White snow #白い小人と黒い小人の手記より
白と黒
むかし、むかしの話です

大きな、大きな森の中

小さな、小さな小屋がありました


この小屋には二人の若者が交代で来ては狩りを行うだけ、必要最低限の物しかありません

この小屋を使っているのはいつも白い服を着た若者といつも黒い服を着た若者だけです


いつもの日常。平和な毎日

ある日、白い服を着た若者は黒い服を着た若者に言いました

「こんな森の中に毎日、毎日来ては狩りをするだけの生活は退屈だね。何か退屈をまぎらわせる物はないかな?」

二人の若者はとても優秀なので、半日もあればその日の稼ぎ分は狩れてしまうのです

黒い服を着た若者は白い服を着た若者に言いました

「ぐだぐた言ってないでさっさと帰れ。今日はオレがこの小屋を使う番だ」

白い服を着た若者は言いました

「でも、退屈でしょ?」

「・・・」

黒い服を着た若者は何も言い返せませんでした
こちらも毎日同じ事を思ってたんですから

「何か案でもあるのか?」

「ちょっと思いついた事があって」

白い服を着た若者はふんわりと笑いながら黒い服を着た若者に言いました

「日記でも付けない?」

二冊の本
たったそれだけ

それが
この話の始まりだった
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