遙か彼方
私の財布が可哀想な中身になってきた二週間後のある日。
インターホンが鳴った。
別にインターホンが鳴るくらい普通だった。
どうせ何かの勧誘だろう。
そんなものの為に玄関には出ない。
まぁ、誰が来た所で出ないけど。
ちなみに電話も出ないでいた。
家電も、ケータイも。
時々鳴る着信音がやけに煩く聞こえて、一週間前に家電のコードをぶち抜いて、ケータイの電源を切った。
未だインターホンはしつこく鳴らされて、三回も鳴らされた。
煩い。
この人が帰ったら今度はインターホンの電源も切ろう。
そう思っていると玄関のドアがバタンっと大きな音を立てて閉まった。
え?何?
どういうこと?
すると、階段を上がって来る足音。
玄関を開けて中に入ってきた?
お母さん?
違う。お母さんはこんな足音じゃない。
…お父さん?
ど、泥棒!?