遙か彼方



私は自分がこの世で一番不幸だと、そんな気でいた。


自分が一番可哀想。

自分が一番我慢してる。

まわりはみんな呑気に生きている。


そう、思っていた。



安易すぎる自分の考えに私は落胆した。


お父さんのことを馬鹿とか、お母さんのことを馬鹿とか言っているけど。

一番の馬鹿は私だった。



項垂れた私の頭を彼が優しく撫でる。


「今は親のこと嫌いじゃないよ?感謝っていうのかな。結局生んでくれたから今の僕がいる訳だから」


だからそんなに穏やかな話し方ができるの?

私には…、できない。


「それでね?実質家族は兄だけだったんだけど、その兄が地球への派遣要員に選ばれたんだ」


今まで穏やかだった口調が一瞬強張る。


お兄さんも地球に?






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