遙か彼方



眉間に寄ったシワは私の視線に気付いたのか、フッと消えた。

そして訳のわからない笑みを私に向ける。


誤魔化したのか強がっているのか。

確かなことは、笑って話す内容ではないということ。



「派遣要員……?」

そんなことを前にも聞いたような気がする。


「詳しくは説明してなかったっけ?」

「うん」

「ハルカには病気のことや地球のこと、全てを管理する組織があるんだ」



今更ながら思うけど、ハルカの話は苦手だ。


彼のことを聞くのは苦痛じゃない。

むしろもっと知りたい。


でもハルカの話は苦手。

想像出来ない世界に私の頭が付いていかない。



「組織から手紙が届くんだ。日本でいう赤紙みたいなもんだよね」

と言って、苦笑いをする。


赤紙って戦争の召集令状のこと?



お国の為……。






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