遙か彼方
でもそんな至福の時は彼の言葉と共にあっという間に終わってしまう。
「あー…ごめん」
それはどんな意味なのか私にはわからない。
わからないから何も言えなくてただ彼を見つめた。
「なんでもない」
答えをくれない彼は曖昧な言葉で済ませた。
この曖昧な関係を、きっとはっきりさせることはない。
少なくとも彼からは。
彼が私を特別に思ってくれているんだろうとは思う。
でも決してそれをはっきりとした言葉に出すことはない。
その訳はわからないでもない。
住む世界が違う。
いずれは星に帰る。
そして
病気の治療法が見つかっていない今、彼の寿命は25歳まで。
色んなことが彼を縛る。
それは私をも縛る。
“なんでもない”そう言った彼に私はただ頷いた。