遙か彼方
来訪者
それは朝一番に訪れた。
ドンドンドン!!
けたたましい音と共に「開けなさい!!」と叫ぶ声。
その音と声に起こされた私は状況が理解できなかった。
眠りから覚めて最初に思ったことは、近所迷惑なのはどこの部屋だろうということ。
それは隣の部屋か向かいの部屋で起こっている出来事だと思った。
まさか自分の部屋のドアが叩かれているとは思いもしなかった。
「開けなさい、美桜!」
だから、私の名前を呼ばれた時はびっくりした。
私の部屋に来訪者が来るのは、寮母さんが初めの頃に夕飯に迎えに来てくれて以来だ。