遙か彼方
「…何から話せばいい?」
すっかり勢いを失ったお父さんは、私よりも彼のことを知っているらしい。
前に彼が言っていた。
“美桜のお父さんのこと知ってるかも”
「……何で知ってるの?」
「あぁ。私は彼の星の病気を研究している」
「……そう」
知ってるってやっぱりそういうことか。
じゃあ……、彼の命があと6日って確実なんだ。
「じゃあ…、最初から全部」
「あぁ」
「とりあえず、……入る?」
「……いいのか?」
「どうぞ」
玄関先でする話でもない。
長くなるのかもしれない。
そう思った私はお父さんを部屋に通した。
お父さんは遠慮がちに額の汗を拭きながら靴を脱いで上がる。
私はそれを見届けてから、お父さんに背中を向けて部屋の奥へと進んだ。
「座って」
そう言って振り返るとお父さんは困惑の表情を示す。
どうしたのかと私が口を開く前に、お父さんの口が開いた。