遙か彼方


「危ないって……?」

「一ヶ月と言っても、発病するのはきっかり30日とは限らない。前か後か、それはわからない」

「待って。それって、今日発病してもおかしくないってこと……?」


嫌だ。

そんなの絶対嫌だ。


「いや、今日はまだ大丈夫だ。2、3日前後が危ない」


その言葉にホッとした。

でも、何も解決していない。


「彼はそのこと知ってるの?」

「勿論。地球に来る前に説明を受けてからそれを承諾して来ている」

「承諾?……死ぬことを?」


あり得ない、あり得ない。

そんな研究の為に死んでいいわけない。


……え?

地球に派遣される時に送られてくる手紙が赤紙ってそういう意味?


「いやいや違う。普通は半月程でハルカに帰るんだ。それでも地球にいた影響で発病が少し早まってしまう。そういうことを承諾して来ているんだ」



もう嫌だ。

やっぱりハルカの話は苦手だ。

頭がそろそろ追い付かない。


それでも、この話だけはちゃんと理解しなきゃいけない。





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