遙か彼方
理由
一人きりで過ごす図書館は物凄く退屈だった。
お盆明けの図書館は、彼が言っていたように人が戻ってきた。
それが逆に寂しかった。
彼と過ごした数日がもう戻ってこないものだと言っているかのようで。
今日読む為の本を持ってきて読んでいても、内容が頭に全く入ってこない。
本を読んでいるのに、彼のことばかり考えてしまっている。
読んでいるのに読んでいない文章を、頭で理解するために何度も同じ所を読み返す。
そのせいでページ数はちっとも進まない。
だから読むのを止めた。
でもそうすると忽(タチマ)ちすることがなくなって、つまらない。
腕時計を確認すると、まだ2時だった。
ボーッと彼のことを考える。
何で18歳で地球に来たんだろう?
昨日そんなこと言っていた?
彼にも手紙が届いたって言ってたよね?
だから来た?
間違いで来てしまった?
いくら考えたところで、答えはわからない。
腕時計を確認すると、5分しかたっていなかった。