遙か彼方
集団生活が今の私に出来るの?
しかも周りは皆大学生。
歳が一番近くても19歳。
16の私からしたら19歳は充分大人だ。
逆に19歳からしたら、私なんてお子さまなんだろう。
上手くやっていける自信がない……。
「ここが美桜ちゃんの部屋だよ」
佐山さんが『301』と書いてある部屋のドアを開ける。
7畳くらいのそこには生活に必要な家具が一通り置いてあった。
しかもトイレ、風呂付き。
寮ってこういうもんなの?
共同トイレに大浴場だと思っていた。
想像していた部屋と違って、つい呆然と立ち尽くしてしまった。
「美桜ちゃん」
立ち尽くす私の背後から佐山さんが声を掛ける。
「何かあったらすぐ言ってね。一応電話番号教えておくから」
佐山さんに私のケータイを渡すと、どうやら自分の番号を登録しているらしかった。
「俺、ここには住んでないけど何かあったらすぐ来るから。本当に何でも言ってね」
そう言い残して佐山さんは部屋を出て行った。