遙か彼方
ヒマワリ畑はやっぱり土が湿っていた。
どろどろとまではいかないものの、靴は土で汚れることは確実だ。
洒落っ気も何もない私の足元は履き潰したスニーカー…。
しまった。
今夜は大事なことを伝えるのにこんないつもの格好をしてきてしまった。
「美緒?」
自分の服装にガッカリしているとまたしても彼から不思議そうな声が洩れる。
「あ、ごめん」
私の前を行く彼に私は右手を差し出した。
その手を見た彼は笑って手を繋いでくれた。
ヒマワリは近くで見ると凄く大きかった。
私の背よりも全然大きかった。
「すっごい…。感動…」
声をだしたのは、見上げてヒマワリを眺めている私の隣でも同じように見上げている彼だった。