遙か彼方


そんなマイナスな考えは今はしたくない。

今日私が彼に伝えたかったこと。

もちろん桜の話もしたかったけど、伝えたいことはもう1つある。


でもこれは言ってもいいことなんだろうか。

彼のことを思えば言わないほうがいいのかもしれない……。

言ったって困らせるだけ。


でも……、私は伝えたい。

自分勝手なのは分かってる。

でも言わなきゃきっと後悔する。


言わないで後悔するより、言って後悔したほうがいい。


だから、伝えよう。

私の想い。



「葵、私は貴方のこと──…」

「美桜っ」


やっと伝える決心をしてやっと言葉に出そうとしたら、私の言いたいことを察知したのか彼の言葉に遮られた。


「……え?」

「ごめん……」


やっぱり伝えたらいけないのか……。

聞きたくないんだ。


私は腕の力を緩めて彼から離れようとした。




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