遙か彼方
初めて入る布団は何だか真新しい匂いがして、寝心地が悪かった。
眠れないお陰で色んなことを考えた。
この部屋、まるで私がここに来ることが決まっていたみたいに用意されていた。
お父さんの指示?
お父さんは今の現状をどれくらい理解しているんだろう。
……家にも帰って来ないで何をしているの?
お母さんが居なくなった原因は自分だってわかってるの?
私が一人残されて、こんな所に連れて来られて、どんな気持ちかわかってるの?
こんなんで親の責任果たした気でいるの?
目の届く所で安心?
迎えにも来ないくせに。
どうせ私に何かあっても佐山さんを来させて自分は来ないくせに。
お父さんの馬鹿。
……お母さんも馬鹿。
二人とも、………嫌い。
目を閉じていても流れる涙はその日、夜が明けるまで止まらなかった。