遙か彼方
「そっか…」
「うん…」
「じゃあ……、これから言うことは別れの言葉じゃないからね?」
「……?」
「あー、…難しいな。えっと、僕地球に来て良かったと思ってる」
あぁ。“さよなら”じゃないけど、……でも“別れの言葉”だ。
わかるよ。
そういう言葉、言いたいこと。
でも駄目だ。
……涙出てきた。
私は俯かせていた顔を更に深く俯かせた。
「美桜のお陰だよ」
「……ううん」
「ありがとう」
「……こちらこそ」
「ってごめん。別れの言葉になっちゃった?」
私は首を横に振った。
「……どうしても“ありがとう”って言いたかったんだ」
「うん」
「本当に、ありがとう」
私の視界の中の彼の足が私との距離を詰める。
肩を掴まれたかと思ったら、フッと彼の腕の中に吸い込まれた。
「泣いてる?」
「……うっ、…っ」
「ありがとう」
止まる気配のない涙は、彼の肩に吸い込まれた。