遙か彼方


ふーっと息を吐き出し、気合いを入れる。

このことをお父さんに伝えるのは少しドキドキした。


「私、高校にちゃんと通おうと思う」


お父さんは驚いたように目を見開くと、次の瞬間穏やかに細めた。


「…そうか」

「うん」


その反応は嬉しかった。



「でも私の席はもう無いかな…?」

「あぁ、それなら大丈夫。佐山くんが休学届けを出してくれてあるみたいだから」

「本当?」

「佐山くんに確かめてみるといい」

「はい」


佐山さん…。

ありがとう。



「じゃあ、家から通った方がいいな」

「え?」


確かにここから通うには少し遠い。

でも通えない距離ではない。

だから私は当然ここから通おうと思っていて、家から通おうとなんて微塵も思わなかった。

だからお父さんの発言に心底驚いた。




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