遙か彼方
あれから…
私は寮を出て、自分の家に帰ってきた。
もちろん、お父さんも。
家に帰ってからお母さん捜しは着々と進められた。
と言っても、お父さんがお母さんの知り合い全てに電話を掛ける勢いで毎日電話をしていたってだけ。
私はてっきりその道のプロにでも頼むのかと思っていた。
そんなんだったら私が捜せば良かったなんて思った。
だけど、そうじゃないんだ。
お父さんが捜すから意味がある。
そういうことなんだよね?
────そして10月。
お母さんが見つかった。
お母さんは案外近くにいた。
お母さんの中学の友達に独身で一人暮らしをしているという人がいて、その人のところに厄介になっていた。
まずお父さんが一人でお母さんを迎えに行った。
そこで二人でどんな話があったのかは私は未だに知らない。
けれど、お母さんは帰ってきた。